エンタープライズID管理コラム

ID・アカウント管理に使っているツールは?ID管理専用ツールの導入状況は?~数字で見るID管理2024

ID・アカウント管理の重要性が増している現在、企業はその管理をどのように行っているのでしょうか。今回は、アンケート結果をもとに、企業のID・アカウント管理の実態について見ていきましょう。

大手企業は約65%がID管理専用ツールを導入、中小企業の導入は少ない傾向

DX推進が企業の重要テーマとなる昨今、企業にとってクラウドサービスの利用拡大はもはや不可欠となりました。新たな取り組みが求められる時代の中で、ID・アカウント管理にどのように取り組んでいるのでしょうか。

まず、ID管理専用ツールの導入状況を聞いたところ、「導入済み」と回答したのは大手企業が64.9%、中堅企業では46.1%、中小企業は16.8%と、企業規模が大きくなるほど導入している傾向が見られました。

また、「導入予定はない」と回答した企業を見ると、中小企業では61.9%に上り、中堅企業(32.1%)や大手企業(14.9%)に比べて高い傾向にあることがわかりました。この結果からは、中小企業ではID管理専用ツールを用いなくても、ID・アカウントが管理できているという実態があると考えられます。実際にこれまで、中小企業の多くは情報システム担当者などがID管理専用ツールを用いずに管理してきたケースが多々ありました。

情報システム担当者などの作業によりID・アカウントを管理できるうちは問題ありませんが、社員数の増加、利用するSaaSの増加、リモートワークなどの普及により、ID・アカウント管理の負荷は増大していきます。その結果、中堅企業、大手企業ではID管理専用ツールの導入率が高い傾向があると考えられます。

次項では、ID・アカウント管理にどのようなツールを使っているか、さらに詳しく見ていきましょう。


ID・アカウント管理に何を使っているのか?企業規模別に考える

続いて、ID・アカウント管理にどのようなツールを利用しているのかを企業規模ごとに見ていきます。

大手企業では、1位「オンプレミスのID管理専用ツール(47.3%)」、2位「Active Directory(40.5%)」、3位「Microsoft Entra ID(33.8%)」という結果になりました。

次に中堅企業では、1位「Active Directory(52.7%)」、2位「人事システム(37.0%)」、3位「オンプレミスのID管理専用ツール(32.1%)」という結果でした。

そして、中小企業では、1位「Active Directory(51.1%)」、2位「ExcelやCSVなど(45.1%)」、3位「グループウェア(25.2%)」でした。

このことから、企業規模を問わず、全体的に「Active Directory」の利用が多い傾向があることがわかります。その一方で、企業規模により、ID・アカウントを管理しやすいツールが異なることが考えられます。例えば、企業規模が大きくなるほど、「オンプレミスのID管理専用ツール」「Microsoft Entra ID」(旧称:Azure Active Directory)の利用が増えており、中小企業では「ExcelやCSVなど」による管理が増えています。

Active Directoryは、「WindowsのIDを格納する認証DB」として、主に社内ネットワークを利用するユーザーのID情報をオンプレミスで管理することを想定した仕組みです。しかし、リモートワークをはじめ「場所を問わない」働き方の増加に伴い、クラウドサービスの利用が増加し、オンプレミスのActive Directoryだけでは適切なIDの管理が難しくなってきました。こうした課題を受けて生まれたツールが、クラウドベースで提供される「Microsoft Entra ID」です。

また、「Active Directory」は中堅・中小企業で利用ツールの1位に挙げられていますが、上述のとおり、そもそもオンプレミスのあらゆるシステムやWeb上のサービスのID(アクセス)を管理するツールではありません。

一方、Excelなどのスプレッドシートによる管理では、管理者がID・アカウント管理を手作業で入力するため、最新の人事情報の反映が遅れてしまったり、漏れてしまったりする可能性があります。

そのため、企業規模が大きくなるにつれて、最新の人事情報などと連動し、ID・アカウント管理を自動化、省力化するID管理専用ツールの利用が普及していると考えられます。


まとめ

今回は、ID・アカウント運用管理の実態調査から、ID管理専用ツール導入の実情を企業規模ごとにまとめました。クラウドサービスの利用の増加やリモートワークなどの普及により複雑化するID・アカウント管理に対応する仕組みが求められています。ほかの調査結果については、下記の資料よりご覧いただけます。ぜひ、ダウンロードしてご一読いただき、貴社のID・アカウント管理にお役立てください。


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